高速道路で見ることが多くなったワイヤーロープ

高速道路で見かけるワイヤーロープとは?

高速道路では中央分離帯で上りと下りを区切っていますし、暫定2車線空間ではラバーポールの設置されている箇所が多いです。
ラバーポール柔らかい素材でできており、オレンジやグリーンといった鮮やかな色をしているので視認性も高いです。
高速道路や道幅の広い幹線道路などで見かけたことのある人も多いでしょう。

一方、高速道路の一部区間では、ワイヤーロープを中央分離帯に貼っているところも見られます。
最近ではこのワイヤーロープによって区切られている高速道路も、昔と比べて珍しくなくなりました。

ワイヤーロープの役割ははみ出させないため

ワイヤーロープが取り付けられるようになったのは、対向車線に車がはみ出ないようにはじき返すためです。
従来のラバーポールの場合、はじき出すような効果はありませんでしたが、実際にワイヤーロープの効果は表れ始めています。
ワイヤーロープ設置前の2016年、1年間で飛び出しによる事故件数は194件ありました。
ところがワイヤーロープ設置後、2017〜21年の5年間で飛び出し事故の発生件数は8件だったのです。
いかに飛び出し事故の件数が激減しているかお分かりでしょう。

車両タイプ別に見ていくと、8件の内訳はトレーラーやバスなどの車両重量が8トン以上の大型車両で、さすがにワイヤーロープで弾き返せないような車種でした。
自家用車やバイクによる飛び出し事故の発生件数は、5年間ゼロです。
飛び出し事故は大きな事故になりやすく、深刻な結果につながりかねません。
しかしワイヤーロープを設置すれば、そのような大きな事故を防止できる可能性が高いわけです。

接触事故は増加傾向にあるので注意が必要

ワイヤーロープによって、飛び出し事故の件数が激減しているのは先のデータの通りです。
しかし一方で、ワイヤーロープを設置したことでワイヤーロープに接触する事故件数は増加しているので油断は禁物です。
ワイヤーロープの設置が始まった2017年で240件でしたが、これが2021年には913件まで増加しています。
しかも2017〜21年の5年間で、合計2,397件の接触事故が起きており、これは決して少なくありません。

ワイヤーロープによる接触事故防止の対策も進められています。
たとえば支柱に反射テープを取り付ける対策で、反射テープを取り付けることでドライバーのワイヤーロープに対する視認性も向上します。
その他にも、ワイヤーロープにホワイトやオレンジの導入レーンマークをペイントする対策も試みられています。
このようにワイヤーロープを目立つようにして、ドライバーに見えるような工夫が施されています。

バイクの場合、体がむき出しの状態で走行しますので、ワイヤーロープに接触すると体に大きなダメージを受けてしまいます。
ですから、細心の注意を払って高速道路を走行しましょう。